ぼくが死ぬまでにしたい10のこと その3
3. 自分のいちばんタイプの女性とメチャクチャつまらない映画を観る。
<その女性が経営する喫茶店>
土曜日の真っ昼間、あまり人通りのない一画の地下にその店はある。
ぼく「お邪魔するよ。あれ、きょうは人がいないね」
うすいブラウンまじりの長髪をヘアゴムで束ねた色白さん(やや胸が大きい 注)「あら狂くん、いらっしゃい。きょうは閉店日よ、お店の整理をするの」
ぼく「土曜日に店を開けないなんて殿様商売だね。きみに頼まれた映画を持ってきたんだけど」
色白さん「本当に!! もしかして『シベリア超特急5』。わたし岡田真澄の大ファンなの」
ぼく「そのもしかだけど、なんか妬けるなあ~、桑田真澄に」
色白さん「ふふふ、桑田じゃなくて岡田よ。いっしょに観てくれたら今度ナイターに付き合うわ」
ぼく「やったあー、じゃあきょうは映画を観たあとサッカー場に行こう。きみはサッカーの方が好きだから……」
(注) いつもの色白さんはようやく活動写真ができた頃の人なのです(涙)。
<本の紹介>
とにかく映画の名前が出てくる、出てくる。ぶらりと公園を歩くとき、これくらいの頻度で美人に出会えたらいいのになあ~と思うくらい(笑)。ぼくが好きな作品を列挙すると、「カサブランカ」、「花嫁のパパ」、「フィールド・オブ・ドリームス」、「リトル・ミス・サンシャイン」。そして何より、E・M・フォースター原作の二作品である。
「眺めのいい部屋」と「モーリス」の名前を見たとき、
「あぁ~、この本を読んでよかったなあ~」
と思ったものだ。そのくらいぼくはフォースターを愛している。フォースターについて語りだすとレヴューの幕が切れないので、ここでは彼に触れないけれど、いつの日かその魅力を存分に伝えてみたい。50の誕生日がいいかしら(笑)。
よし、そろそろヘタな「あらすじ」をすこしだけ。
〈主人公の円山歩は不惑を目前に控えた独り身の女性。このごろ私生活があまり上手くいってない。せっかく課長にまで昇進した大手の会社を辞職したその日に、父親が心筋梗塞の手術のため入院するし、彼は趣味のギャンブルで少なくない借金までこしらえていた。
とりあえず母親と歩はギャンブル禁止令を出し、手持ち無沙汰な父親にはもう一つの趣味である映画を許可した。しかし彼は不意に姿をくらませ、なんと漫画喫茶で漫画を読んでいるところを歩に発見される。そこで歩がインターネットの使い方を教えると、彼女の父親は映画の感想をネットに書き込むようになって……〉
<余談>
ぼくはギャンブルと煙草、そして深酒はやりません。いや、男らしい男がやるようなことはほとんどやらない(笑)。ぼくと同年代の男はたいてい煙草呑みなので、それだけはカミさんに褒められる。あ、競馬はやったことあるけれど、走る馬目当てでお金はほとんど賭けてませんから(笑)。
最後に一つだけオススメの映画を紹介します。フランス映画の「サン・ジャックへの道」。E・M・フォースターの小説の味に近い、異なる価値観をもつ人々の交流を描いたロードムービー。久しぶりに二度繰りかえして観た。