ラブコメ先祖返り
名前を覚えるのが難しい料理がおいしいように、名前がヘンテコな戯曲はおもしろい。
その名は『シラノ・ド・ベルジュラック』 芝居好きは知ってるが、そうでないなら今知った。作者はエドモン・ロスタンだ。彼は20世紀前半のフランス人、次世代の演劇をつくったよ。シラノは実在した人で、あの大デュマの『三銃士』と同時代、ダルタニャンも出てくるよ(ちょっぴりね)。シラノは万能何でもできる、詩から音楽、剣術学術、何をやっても超一流。ところが一つ大きな欠点、それは「面妖も面妖、度が過ぎる、言語道断、抱腹絶倒」(36ページ)と言われるほどの大きな鼻。そんなシラノも恋をする、相手は従妹のロクサーヌ、しかし彼女が好きなのは、シラノではなくクリスチャン、シラノの同僚の美男子だ。ところがそのクリスチャンは愛の言葉をささやけない。見かねたシラノは協力する「君を俺が補い、俺を君が補う、いやか? 君の歩く傍から、俺は影法師になってついていく。君の才知に俺はなる、俺の美貌は君という訳」(172ページ)。シラノの協力を得たクリスチャン、自慢の美貌とシラノの恋文でロクサーヌをメロメロに、しかし彼女の恋心を本当に射止めていたのは……
物語のあらすじはこんな感じです。『シラノ・ド・ベルジュラック』は20世紀演劇をつくっただけでなく、ラブコメ映画の素地にもなりました。
- 作者: エドモンロスタン,Edmond Rostand,渡辺守章
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2008/11/11
- メディア: 文庫
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