名探偵ストンとわたしの共同事務所

調子はずれで個人的な雑談を繰り広げます。正直いって、ぼくは頭がオカシイです。テーマは、読書や映画、アニメ、日々の出来事、つまらない小ネタが中心でくだらない(笑)。寛容の心で読み流していただけたら幸いです。    <注>コメントや質問は大歓迎ですが、念のため承認制にしてあります。

蛇踏んじゃった 

 ウソだと分かりきっているおじいちゃんの昔話がおもしろい、これは語り手の人柄の為せる技だが、現実離れした小説に自然と引き込まれる、これはその作家の言葉を操る技術がものを言う。想像力に身を任せた作品は、とかく話の筋の突飛さが一人歩きしがちで、個々の表現があまり印象を残さない。しかし、この『蛇を踏む』はその反対で、ストーリーよりもそれを紡ぐ言葉に意識が向く。ことに、唐突にはじまる「性的な告白」がこの小説の肝であり、読み終わったあと、書き出し、この告白、結びの構成美に気付かされ、また読みたくなる。そして再読すると、話の運びが適切だから、言葉が生き生きすることにも気付かされる。生き生きとした言葉に流される。

 

蛇を踏む (文春文庫)

蛇を踏む (文春文庫)