ぼくが死ぬまでにしたい10のこと その2
<生い茂る庭木を見わたせる縁側>
風鈴をゆらす温風(あつかぜ)が軒下に吹きわたる。冷水の入った銀たらい二つに四本の足。
姫カット風の色白さん(後ろ髪はすこし短め)「西瓜にはお塩をふりますか?」
ぼく「うん、あった方がいいね。久しぶりに食べたけど、おいしいや! メロンよりもスイカだなあ~」
色白さん「安上がりでよろしい。それはそうと、狂さん(ぼく)、あなたいつもお一人ね?」
ぼく「えっ、まあ友だちが居ないわけではないけれど、変なプライドが邪魔してね」
色白さん「そう…………それでは長い夏休みになりそうね」
みーいん、みいん、みいん。みーいん、みいん、みいん。
騒がしい蝉の鳴き声が、よりいっそうと響きわたった。
よし、小ネタ(この小説と多少は関係があります)は終わりだ。「あらすじ」と「感想」を残してずらかろう。
<あらすじ>
物語の主人公枝田光輝(みつき)は母親と二人暮らしで、小学5年生になるまでずっと一人ぼっちだった。が、5年生になってクラスの人気者押野に話しかけられる。悪戯ではないかと疑い半分、夢のような喜び半分で約束の空き地へ行くと、そこでは草野球が行われていた。頓馬な光輝ではあるけれど、気さくな奴ばかりなので下手くそでも野球を楽しめた。友だちと外で遊ぶのは初めてだった。そうして光輝の生活に光が差しはじめる。
押野にはお姉ちゃんが居て、お手製の抹茶プリンをふるまってくれるし、飼育委員になってグッピーの世話も任された。やはり野球のセンスはからきしで、守備はお笑いプレーだけれど、バッティングはまだまとも。母親にねだってバットも買ってもらう。
しかし、
「みつき、お母さんお仕事変わるの。また学校を転校しないといけない」と母親。
「そんなの絶対にイヤだ」と抵抗する光輝。
「一つだけ方法があるわ。みつき、あなたにはおじいちゃんが居るのよ……」
<感想>
いや~、本当に最高だった。泣いたし、笑ったし、また泣いた。殊に、30ページにある
「ぼくはいつだって、母さんがこの世からいなくなってしまうことを恐れていた」
この言葉を見たとき、胸が締め付けられる気持になった。ぼくもカミさんがいなくなったら困るなあ~。お金の問題もありますが、アイロンのかけ方とかまったく分かりません(笑)。ぼくは母性のつよい人が近くに居てくれないと生活が成り立たないや。寮生活で一通りは覚えたけどね。
正直いって、涙なしで読むのはとても無理だった。この本の裏には、汚損・破損ありを示すシールがあって、「水濡れ」という項目にチェックがある。それを見たわたしは、きっと自分の涙が紙面を濡らしたのだ、とひとり微笑んだ。
追記(ややネタばれ)
ぼくは光輝くんのお母さんを責めたくはないです。