歩くことのいろいろ
子どものころ、空港などで見かけるまっ平らなエスカレーターに憧れた。ふつうに歩くのと見える景色はちがうのだろうか? と興味津々だった時分にはついに利用することはなく、すこし前がつっかえたくらいでイライラしてしまう年齢になってはじめて乗ったせいか、まったく感動がなかったというより初体験の記憶すらない。悲しい。
この頃はイオンにもその動く歩道はあるので、今の子どもたちはぼくの二の舞は避けられると思うけれど、田舎の子たちはどうなのだろう? いや、今となっては動く歩道そのものに興奮しないのかなあ~? ちょっと気になる。
歩くことを表す言葉はわりと多い。
どういう表現があるのか気になったので、久しぶりに『角川 類語新辞典』の言葉の世界へと冒険しに行くか。
307番「歩行」
このなかでは、「御拾い」がいいですね。奥様が御拾いになる、と例文にあって、歩くことの敬語表現であり、かつ古風な言い回しとのこと。もう一つあげると、「玉歩」。将棋盤の上で歩のまえに玉が鎮座することではもちろんなくて、これは皇族などの貴人の歩行に対する敬称。あまり見かけない気がする(新聞などにあるのかな?)。
a[歩行のいろいろ]
まず「夜歩き」。例文は女の夜歩きは危ない。本当ですよねぇ~、少なくとも一人で夜歩きはして欲しくないです。そして「急ぎ足」。会社に遅れそうなので急ぎ足になる。都合がわるいので次行こう(笑)。この項目のラストは「闊歩」。奇抜な服装で街頭を闊歩する。林家ペーパー師匠かな? この言葉は皮肉の含みをもつので使い方に気を付けましょう
このブログを読むみなさん「お前に言われたくないわ」
b [はう・いざる など]
はじめは「匍匐」。例文は匍匐して前進すると、匍匐性の蔓。おもしろい字面なので好きですが、さすがに使う機会がないね。平和な証拠です(笑)。次は「躄(いざ)る」。人形浄瑠璃の躄勝五郎のあたまの文字ですね(誰だあ?)。座ったまま進むことを表すようです。むかしの「クレヨンしんちゃん」の映画でそんなシーンがあったなあ~と思うのはぼくだけかしら。
ラストは「膝行(しっこう)」。これはまえの「躄(いざ)る」とだいたい同じ意味です。例文は神前で膝行して進む。神社狂いのぼくには欠かせない言葉ですね(笑)。それと、さすがに「夜這い」はこの項目にはないね(大笑)。
結びに代えて「銀ぶら」について。これは、銀座をぶらぶら歩くことではなく、銀座でブラジルコーヒーを飲むことだ、とテレビでやっていたのだが、どう考えても前者の使い方が理にかなっていると銀座のブラジルコーヒーを知らぬ男は愚痴をこぼした。