ぼくが死ぬまでにしたい10のこと その1
<滝の音が心地よいお寺>
姫カット風の色白先生「ストン・狂(ぼく)さん、そこはダメ(囲碁用語)ですよ。打っても価値のないところです」
ぼく「あ、本当だ。どうもダメはよく分からなくって、先生のダメなら分かるんだけどね」
色白先生「あらあら、そういうことを仰ってはダメ、ちゃんと予習はされたのかしら」
ぼく「渡されたテキストは難しかったから、『ヒカルの碁』を読んできました」
色白先生「……」
本当にあれですよね、『ヒカルの碁』をどんなに真剣に読んでも、囲碁のルールはまったく分からない(笑)。囲碁用語の知識だけ空しく増えていく。
しかし、ぼくは囲碁ほど面白い遊びはないと思うんですよ。これほど洗練されたゲームってないでしょう? だって盤以外では黒石と白石しか使わないのよ。たぶん、お座敷遊びの金毘羅船々の次に延々と遊べるよ、気に入った相手なら。
世の中には、自分の知らない楽しいことがたくさんあって、その多くを経験しないうちに死んでしまう。いや、もっと寂しいのは、知っているのに理解できないから遊べない。ぼくは何度も挑戦してるんだけど、一通り打てるまでにはならない。囲碁が分かる頭に生まれたかったです(涙目)。
でもね、そんなぼくでも楽しめるのが『ヒカルの碁』の凄いところ。出てくる女の子はいちいち可愛いし、ルールが分からなくても試合の緊迫感が伝わってくる(笑)。ぼくは院生編から登場する奈瀬さんが大好きで、彼女がついにプロ試験を突破できなかった日には、すこし鬱っぽくなりました。いま思い出しても泣けます、ぼくって馬鹿でしょ(笑えない)。
あとは倉田さんが好きだったなあ~、この人は男ですよ。一つ名言があって、それが、
「自分にとって本当に恐いやつは下から来るんだ。下との戦いは死にもの狂いになる」
下との戦いに死にもの狂いになれず、後輩の研究者に次々と追い抜かれ、象牙の塔とは名ばかりのテーマパークから脱落した我が身には、やや耳の痛いセリフである。
ちょっと落ち込んだぞぉ~。奈瀬さ~ん、慰めてくれ~。